魔術図式概論
著者:ヨハネス・ルター
1.魔術図式の始まりと原理
魔術と技術は一時、相反する概念とされていたが
これらの結合はとてつもない革新と発見の新たな時代をもたらした。
自然元素の力を利用する魔術は、技術に動力を提供して様々な可能性を与え、
技術は魔術に対して科学的な説明を提供することで魔術に対する接近性と安全性を高めた。
このような結合の核心であり、代表的な発明品のうちの一つこそ魔術図式である。
魔術図式は上級技術者が精巧な木板や石板に特定の命令図式を彫り、
上級魔術師が元素の塊や呪文などを通じて力を吹き込むことで作られる。
2.魔術図式の活用
1)被造物製作
今日、魔術図式を最も多く活用している分野は被造物製作である。魔術図式が用いられた被造物は、大きく分けて三つに分けられる。
一つ目は警備や防御のために作られた被造物、ハーベスターとハシクロがある。これらは体内の最も奥に魔術図版が設置されており、これによって魔力をチャージする。
二つ目は戦闘や輸送、工事に使用されるゴーレムである。ゴーレムには、クロと同じで魔術図式を石像の中に設置し動かす方法と、魔力を持った人が図式に反応して一定時間ゴーレムにモーフする方法がある。
最後は通信、記録、探査、収集などの様々な知的活動に用いられるディストーンである。これらは体のどこかに直接図式が刻まれており、それを隠すやり方が多く用いられれている。知的機能が高く、種類も多いディストーンとしてジェニス・カーターが作ったルナシリーズが有名であり、それよりは低いものとしてアミトイがある。
3.魔術図式の活用
2)空間魔術と治癒魔術
空間移動のために複雑かつ難しい呪文を使用する代わりに魔術図式を用いてワープ装置を作ることができる。
これは探検家たちに楽な移動方法を提供し、遠く離れた世界をより近くに感じさせてくれるものである。特に魔術師でなくとも使用可能であるという点と、何度も使用できるという点が最も大きなメリットである。
また、魔術と技術の結合は治癒分野においても大きな力を発揮している。
魔術は治癒エネルギーの源となり、技術は治癒エネルギーを効果的に伝達し増幅させる装置を開発して、不治の病とされていた病気の治療も可能となった。
このような治癒魔術もまた、特定の図式が刻まれた空間において成立し、この方法を応用して加護の魔術を使用することもできる。
4.魔術図式の問題点
しかし何事にも欠点はつきものであるように、魔術と技術の融合であるこの強力な力にも、倫理的側面を含む深刻な問題がある。
たとえば、この強力な技術の使用をどう制御するのか?
誰が使用に関する決定権を持ち、世界にどのような影響を与えるか、などの問題である。
ヒューマンは最初に魔術を学んだ時から、絶えず魔術を戦争で使用してきた。
技術と結合し、どんどん強力になる魔術図式は、大きな恩恵とともに災いももたらした。
ラスランとストーンガルドには邪悪な魔術図式を利用した死の雨が降り、ある目撃者の証言によると魔術図式を利用して魔界の悪魔を地上に召喚したとのことだ。
5.魔術図式の現在と未来
魔術と技術が結合した魔術図式は、様々な革新と新たな栄光の時代をもたらす可能性を秘めているものの、慎重に扱わなければ最悪の事態を招きかねないことを考慮し、徹底的に制御されなくてはならない。
現在はアーキライト学会とベネルクスにおいて審査を通過し、権限を付与された魔術師のみ魔術図式の使用が認められている。
資格は全部で20個のグレードに分かれており、グレードごとに使用できる力の大きさ、範囲が定められている。
魔術図式の基本の具現化方法と魔術図式を利用したモーフ、そして〈守護者の誓約〉については、魔術図式の理解の深化過程で詳しく紹介したいと思う。