三日後、偉大なる魔術師ヘイル・ベルペウスの葬儀がラスランで盛大に行われる予定だ。葬儀に参加する前に先生の故郷、ここトランドールに訪問して彼を思い出してみた。
先生は元々アーキライト学会出身の普通の魔術師で、アイナール神殿を守る任務を遂行しながら、修練中だったらしい。
しかしアイナール神殿に闇の魔術師たちが侵入した日、一緒に神殿を守っていた魔術師デルーズ・ノアが禁断の力を手に入れ暴走し、彼の人生も変わってしまった。
人々の前に立つよりも、後ろで黙々と任された仕事をしていた彼が自ら前に立ち、人を集めて暴走したデルーズ・ノアを眠らせる方法を探し始めたのだ。そして数年の努力の結果、彼はついに6人の魔術師と共にデルーズ・ノアを封印することに成功した。
彼はそれだけでなく、白魔術学術研究機関にベネルクスを建て、初代村長となった。
アーキライト学会が戒律に基づく魔術の監視を立てて、黒魔術を排撃して来たとすれば、ベネルクスは白魔術を普及、発展させることで、今より積極的に黒魔術を制御しないといけないと主張する。
彼がいくつものベネルクスを設立したのはデルーズ・ノアが原因だと私に言っていた。デルーズ・ノアの悲劇は闇の魔術師と黒魔術のせいで起こってしまったのだから、二度と同じことを起こさないためにもベネルクスのような教育機関を作るべきだったと言う。先生の望み通り、ベネルクスは毎年天才ともいうべき優秀な魔術師を生み出し、先生自身も研究を続けて治癒と守護の魔術図式を完成させ、白魔術の発展に大きく寄与した。ベネルクスが今も同じ地位にいられるのは、先生の功績によるところが大きい。
先生はこうしてソリシウム歴史に大きな業績を残して、私たちの元を去った。人々の称賛の声が大きくなるほど、自分自身に厳しく最後の瞬間まで謙虚だった人。彼は人々の記憶の中で永遠に生きるだろう。
-ヘイル・ベルペウスの1番弟子、ゴース・ウォンダ。