ID: 1334115514
羊飼いの秘密
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タイプ: 収集
カテゴリー: ベルカント荘園周辺

羊飼いの秘密 1

没落したベルカント家の荘園には、古びた羊牧場が一つあった。今は何もない牧場だが、昔は雲のような羊の群れと羊飼いたちが暮らしていた。少年サムもその一人だった。

サムと羊飼いたちの大好きな時間は、邸宅から送られてくる生活必需品が届いた時だった。カゴの中に入っているおやつもだが、一番の理由は、それを届けてくれるノーン・ベルカントだった。ノーンはベルカント一門の次女で、とても美しくて優しく、時々邸宅の使用人の代わりに大きなカゴを一人で持って来たりしていた。彼女は牧場を見回って、足りない物を準備してくれるだけでなく、休む間もなく話続ける子供たちの話にも、嫌な顔一つせずに聞いていた。だから彼女が帰る時になると、羊飼いたちは残念そうに彼女を見送った。そしてある日、ノーンを追っていた羊飼いたちは彼女が曲がりくねった森へ向かう姿を目撃した。そこには、素敵な少年がノーンを待っていたのだが、周りを見渡した二人は仲良さそうに手を繋いで森の中へと入っていった。

その慎重そうな姿を見たサムと羊飼いは、この事を秘密にしないといけないと子供ながらに感じた。子供たちは暗黙的にノーンの秘密を守り、その事実を誇りとしていた。

しかし、羊飼いが見た青年はクリムゾン家のラザルス・クリムゾンだった。二人の密会は後日ベルカントとクリムゾンの荘園に大きな災いを呼び、多くの人々が命を落とした。サムと一緒に羊を飼っていた羊飼いと隣人たちも惨事を避けれなかった。サムは変事にあう前に家族とトランドールを去ったが、後からその事実を知ってあの事を隠し通した事を後悔した。もし誰かに話していたとしても、羊飼いの話に誰も耳を傾けてはくれなかっただろうが、そんな事はサムの励ましにはならなかった。彼は死ぬ寸前まで自分の決断に後悔し、ベルカント一門の墓へ行っては責めた。それ故に、この世を去ったサムに代わって、ここにその事を残す。おじいちゃん、もう安心して大丈夫だよ。

亡くなったひいおじいちゃんを追悼し、シンディ・ヘイブンより。

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追加者 Kiriak (8-10-2024)