ID: 1985535994
メルドムン講義録:グランドエロン
icon コーデックスタスク
タイプ: 収集
カテゴリー: 浄化の塔周辺

メルドムン講義録:グランドエロン 1

メルドムン教授の講義録
第12講。グランドエロン。

前回の話の続きです。浄化の丘という名前は、浄化の塔が建てられた後につけられました。それ以前は、この一帯のことをエロンの森と呼んでいたのです。今では忘れられたも同然の古い名前です。

エロンの森は、ラスランで最も美しい風景を誇ることから「ラスランの宝」とも呼ばれていました。その名の通り、一度でも足を踏み入れた者は永遠に忘れることができないほど、神秘的で美しい色彩で溢れていたそうです。

当時はエロンの森を守護していたボスミトラン、グランドエロンもヒューマンに対して友好的だったそうです。

「彼は絶望する者には安全な隠れ家を、
苦悩する者には賢者の知恵を与えた。
森の広き懐には安息がある」

グランドエロンへの献上詩の一節です。作者の名前は不明ですが、アーキライト学会の魔術師であると考えられています。

メルドムン講義録:グランドエロン 2

皆さんもご存知の通り、約三百年前、我らアーキライト学会とシラベス教団の間に教義戦争が起こりました。当時シラベス教団がエロンの森を燃やし、この一帯は焼け野原となりました。グランドエロンを除き、美しかった森は跡形もなく消えてしまったのです。

当時浄化の塔を建てた魔術師たちは、こう記録しています。

「とても直視できない悲惨な光景だった。獣たちの死体が黒く染まり、あちらこちらで腐っている。鼻を塞いでも耐えがたい悪臭が漂ってくる」

「種をまいても芽が出ず、生きている木を植えてもすぐに枯れてしまった。ここは生命を拒む死の土地だ」

皆さんが今見ている浄化の塔は、その死の土地を蘇生させるために建てられました。当代最高の魔術師たちが汚染の浄化を使命として研究を続けました。その努力にも関わらず、死の土地には二百年間、草の一本も生えませんでした。シラベス教団の所業がいかに無責任かつ邪悪であるかおわかりいただけるでしょう。

メルドムン講義録:グランドエロン 3

アーキライト学会の魔術師たちは諦めませんでした。約三百年間にわたって我らの先祖たちは努力を続け、土地は徐々に回復していきました。そして二十年前、死の土地に生命が芽吹く奇跡が起きたのです。皆さんが今見ている森はその当時に生まれた木々が成長した姿です。

残念ながらグランドエロンの浄化は不可能でした。土地を荒廃させた死の物質が彼の精神にも影響を及ぼしたものと考えられます。彼はアーキライト学会の善意にも関わらず、すべてのヒューマンに対して憎悪を抱くようになりました。今となっては森の賢者ではなく、怨念に満ちた魔物に近いと言えるでしょう。

浄化の塔の南側にあるエロンの聖域は、見習いたちの出入りが禁じられた危険な場所です。そこはグランドエロンの影響で荒廃しており、遠くからでもはっきりと区別できます。それにも関わらず、毎年好奇心から多くの見習いと冒険家たちがグランドエロンによって命を落としています。この場を借りて再度、エロンの聖域への接近を控えるよう忠告します。

では今日の講義はここまでとします。見習いの皆さん、どうか魔術の研究に邁進してください。

exitlag


ログインしてコメントする
追加者 Kiriak (8-10-2024)
追加者 Kiriak (8-10-2024)
追加者 Kiriak (9-10-2024)