どうして私は、こんなにも運が悪いんだろう?
つい最近も道に迷い、どうにか仲間たちと合流したばかりなのに、今度は霧の森で一人取り残されてしまった。何とか森を抜け出そうとフックを投げたけれど、まさかそれがミトランの枝に引っかかるなんて…
私、今回も無事に生き延びることができるのかな…?
目の前の霧が薄れ、大きな木が姿を現した。木に刻まれた不格好なカラス…それは間違いなく私がつけた目印だった。私は頭を抱え、その場にへたり込んだ。確かにまっすぐ進んできたはずなのに、なぜ何度も同じ場所に戻ってきてしまうんだ!すべての方向に進んでみたのに…私はなんて不運なんだ!こんな孤独な死を迎えるなら、もっと思うままに生きればよかった!
その時、前方で何か光るのが見えた。そっと近づいてみると、細い糸のようなものが垂れ下がっていた。今思えば非常に怪しかったけど、その時の私は脱出することだけを必死に考えていて、それがまるで命綱のように見えたのだ。罠かもしれない、という考えが一瞬よぎったが、それでもここで一人で死ぬよりはマシだろうと覚悟を決めた。
私はその糸が切れないよう、慎重に、ゆっくりと進んだ。幸い、その糸は徐々に太くなり、だんだんピンと張ってきた。しかし、糸の先にあるものがどうにもただならぬ雰囲気を放っていた。あれを何と呼ぶのだっけ?真っ白になった頭の中に、突然答えが浮かび上がった。そうだ、クモの巣!しかも、とても大きなクモの巣だった!
恐怖に駆られた私は、喉が裂けそうなほど大声を上げながら反対方向に全速力で走り出した。まるで「ここに獲物がいます!」と森中に告げるような行動だった。振り返る勇気はなかったが、飢えた怪物たちがすぐ背後まで迫っている気配をひしひしと感じた。私は死に物狂いで走ったが、奴らも執拗に追いかけてきた。
何か役立つものがないかと懐に手を入れると、中にはフックがあった。緊張で手間取ったが、やがてフックは大きな音を立てながら回転し始めた。私はぎっしりと並んだ巨大な木々に向けて、勢いよくフックを投げた。枝に引っかかりさえすれば、一気にここから抜け出せるはずだった。
その時、霧の向こうから「ガシャン!」とフックが何かに引っかかる感触が伝わってきた。私は勝利の雄叫びを上げながら、全力で体を預けた。だが…何かがおかしい。木が動いている…?その瞬間、私は気づいた。その巨大な木には顔があり、燃えるような目が私をじっと睨みつけていた。
くそっ、それは霧のミトランだったのだ!
突然、頭を掴まれたミトランは、明らかに不機嫌そうだった。その時、手にしていたフックをすぐに放り投げていれば、もしかしたらミトランも私を許してくれたかもしれない。しかし、私はその忌々しいフックを最後まで握りしめ、狂ったように全力で走り続けた。
再びとんでもない目にあったミトランは完全に激怒し、荒れ狂い始めた。そのあまりの猛威に、これまで追いかけてきた正体不明の怪物たちも恐れをなして逃げ出したほどだった。いや、もしかすると何匹かはまだ残っていたかもしれないが、とにかく私はミトランの攻撃を避けることに精一杯だった。
ミトランの大きな枝が地面を叩きつけるたびに、背中に背負ったバッグがズタズタに裂けていくのが感じられた。バッグがすべて引き裂かれたら、次は私の背中の皮が剥がされる番だろう。こんなことならもっと丈夫なバッグを用意しておくべきだった!
私は背中を守るために周りの木々をできるだけ利用したけど、ミトランの力の前では焼け石に水だった。ミトランの一撃で近くの木々が次々と粉々に砕け散り、その破片と土ぼこりが周りに舞い上がった。
どれだけ逃げたのだろうか。手に握っていたフックのロープが再び私をグイッと引き寄せた。無様に転んでしまった私はどうにか体を起こし、ミトランのいるほうを確認した。意外なことに、そこにはロープに絡まれて情けなくもがいているミトランの姿があった。私はすぐに状況を把握した。ミトランがその長い枝で攻撃したり、木々を壊したりするたびに、頭に引っかかったフックのロープが少しずつ絡まり、結局自分自身をぐるぐる巻きに縛り上げてしまったのだ!
恐る恐る近づいてみると、ロープには私のバッグからちぎれた布切れや、根こそぎ引き抜かれた茂み、羽だけが残った鳥の巣など、あらゆるものが絡まっていた。こんな滑稽なミトランがいるなんて!私はこの偉業をすぐ誰かに自慢したくて仕方がなかった。ギルドの仲間たちも、最初は私の話を信じないはずだ。でも、これを直接見せればどうだろう?もう誰も私を間抜け呼ばわりすることはなくなるに違いない。
その時、近くからギルドリーダーの声と、ギルドメンバーたちの不満そうな声が聞こえてきた。私は満面の笑みを浮かべながら、彼らを迎えた。