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倉庫番兄弟の物語~アーキウム駐屯地からの脱出~
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タイプ: 収集
カテゴリー: ネビュラ島・北部編

倉庫番兄弟の物語~アーキウム駐屯地からの脱出~ 1


脱出の瞬間を思い返すラボの表情はとても明るかった。
『突然、すべてが真っ白になって、目の前を走るカセナ兄弟だけが見えたギャ。その瞬間、私はただカセナ兄弟のためにこの世に生まれてきたんだと悟ったギャ!』

ラティも話した。
『私も同じだギャ!カセナ兄弟は私たちの恩人、いや、女神だギャ!ラティは女神のためなら何だってできるギャ!』

倉庫番兄弟の物語~アーキウム駐屯地からの脱出~ 2

ラティとラボはスチール信用組合の倉庫番をしている兄弟で、レジスタンスが発見した王の遺物を安全に保管するためネビュラ島に派遣された。

二人の活躍は目覚ましかった。倉庫番の手にかかると、これまでレジスタンスが集めた膨大な遺物が小さな倉庫に瞬く間に収められた。新たに発見された遺物も同じだった。レジスタンスの間では彼らのことを褒める声が絶えなかった。

二人の倉庫番に関する噂はアーキウム軍団の耳にも届いていた。彼らは特に、レジスタンスが持つ全ての遺物が、現在一つの倉庫に集まっているという事実に注目した。しかし、スチール信用組合の倉庫を開けることができるのは倉庫番だけだった。結局、アーキウムはレジスタンスの全ての遺物を奪取するため、二人の倉庫番を拉致することにした。

倉庫番兄弟の物語~アーキウム駐屯地からの脱出~ 3

その日、ネビュラ島には強力な魔獣・エクソダスが現れた。多くの冒険者がエクソダス討伐のために島を訪れ、レジスタンスもエリート部隊のほとんどをポータルの向こうへ送り出していた。

最低限の兵力しか残っていない探査基地に、どこからか焦げた臭いが漂い始めた。発火地点は探査基地を支えている木造構造物だった。レジスタンスはもちろん、基地に残っていた冒険者たちも腕まくりをして火を消し始めた。

スチール信用組合の規定上、ラティとラボはどんなことがあっても倉庫の前を離れることができなかった。困惑していたラティは、ふと背後に人の気配を感じた。しかし、振り向く間もなく、目の前が真っ暗になった。

一方、火災のことを聞いたカセナは、本能的にアーキウムを疑った。彼女は急いで探査基地を見回りながら奴らの目的を考えた。そしてふと、二人の倉庫番の姿が見えないことに気づいた。

倉庫番兄弟の物語~アーキウム駐屯地からの脱出~ 4

ラティとラボが、自分たちが真っ黒な布を頭から被せられていることに気づいたとき、すでに彼らはアーキウム駐屯地に到着していた。二人は冷たい鉄格子の中に閉じ込められ、自分たちの過ちを責めていた。そのとき、外から誰かの叫び声が聞こえた。

「桟橋にレジスタンスが現れたぞ!ゴブリンたちを助けに来た!」
「いや、丘だ!丘の上にレジスタンスの奴らがいるのを見た!」
「どっちも捕まえればいいだろう!全兵力を集結地点に移動させろ!」

慌てふためく兵士たちに指揮官の怒号が飛んだ。彼は洞窟の中に入り、鉄格子を守っていた兵士たちに言った。

「このゴブリンたちは私が引き受ける。もっと安全な場所へ移送するぞ」
「ですが…私たちが受けた命令は...」
「うるさい!さっさと外へ出てレジスタンスの奴らを捕らえろ!」

びっくりした兵士たちは、急いで武器を手に取り、慌てて駆け出して行った。

倉庫番兄弟の物語~アーキウム駐屯地からの脱出~ 5

しばらく後、鉄格子の前に立った指揮官は鍵の代わりに剣を抜いた。そして一気に鉄格子の錠を切った。怯えきった兄弟の耳に聞き覚えのある、しかし焦ったような声が聞こえた。

「ラティ、ラボ!カセナです。早く外へ!」

ヘルムの中の顔は確かにカセナだった。彼女は邪魔なアーマーを脱ぎ捨て、洞窟の至る所に爆発物を設置した。そして、ためらう兄弟の手を取り一緒に駆け出した。

「爆発します!気を付けて!」

間もなく目の前が閃光に包まれ、巨大な轟音が響き渡った。カセナは何とかバランスを保ち、二人のゴブリンと共に用意しておいた魔法陣の上に立った。すると、視界がぼやけ、見慣れた探査基地の風景が現れた。待ちわびていた人々が歓声を上げながら駆け寄り、彼らを迎えた。カセナの温かい手は、まだ二人の兄弟の手をしっかりと握っていた。

exitlag


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追加者 Kiriak (28-01-2025)
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追加者 Keyarz (28-01-2025)
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