戦いにおいて重要なことは「先制攻撃」と言われているが、真の闘士ならば勝敗だけでなく戦い方も重要視するべきである。
そのため私もまた、正々堂々とした決闘を好むのだが。最近の若い冒険家たちは、どうしてこうも弱気な者たちばかりなのか…
いくら決闘を申込もうともほとんどが戦いを避けるせいで、私のこの燃え上がる闘志は行き場を無くしている。
唯一の解決法としては、戦いを避ける冒険家たちを勝負の世界へと引きずり込むことだろう。そのために色々と悩んだ結果、私ジョナサン・パンチは戦いを呼ぶいくつかの効果的な方法を会得した。
まずは相手に余計なアドバイスをする。
これは古来より伝わりし高度な戦いの誘導方法で、狩りを行っている冒険家のそばへ行ってあれこれ口出しをし、眠っている相手の負けん気を刺激するのだ。ただしこの時、アドバイスは本当に「余計な」ものでなくてはならない。
例えば、以下の通りだ。
「おやおや、素晴らしい装備じゃないか。ギガントリテも倒せそうだ」
「おっと、今のを外すか。もしかして当てるつもりがないのかな?」
「せっかくアドバイスをしてやってるのに、何だその態度は」
このように狩りにはまったく役に立たない、かつ相手の集中力をかき乱す言葉こそ戦いを呼ぶ最高の方法と言えるだろう。
(アドバイスをする時に相手に向かって「指さし」もすると効果は倍増する)
もしアドバイス作戦が通じなかったのなら、ここからは忍耐が必要である。雨だれ石を穿つという言葉があるように、何度も続ければいつかは効果がでるものだ。
根気強く相手を追いかけ回し戦いへと誘導するのだ。
以下の行動は、私が相手を刺激するために繰り返したものだ。
-相手の後をついてまわり「塩をまく」
-相手の戦いを見ながらわざとらしく「つまらなそう」にする
-相手がミスをした時に「歓喜」し「万歳」をする
このような行動を根気強くすれば、きっと相手はあなたのことを無視できなくなるだろう。あるいは戦いを避けていた冒険家たちが反対にあなたに決闘を申込んでくるかもしれない。
さらに、私のこの戦いを呼ぶ方法は、戦闘開始前から相手を怒らせ戦いを有利に導くこともできる。理性を失った相手ほど勝ちやすい相手はいないからだ。ある者はこれを見て卑怯だと言うかもしれないが、私は真の勝利を得るための戦略だと思っている。
おかげで今まで10002回の戦いのうち、3回の引き分けと9999回の勝利を得ることができた。また、この時代最高の闘士という称号も手にした。
私のこの戦いを呼ぶ方法であなたも真の闘士に生まれ変わることを願う。
あなたたちの道が勝利であふれんことを。
-最強の冒険家、ジョナサン・パンチ-