今日は特別な計画を立てた。ジゼルにロブスタ―サンドイッチを作ってあげることにしたのだ。ロブスターサンドイッチは最近ヘルバで流行っている料理で、栄養価が高く味も良いと評判だ。
今までジゼルは薬もきちんと飲み、私が研究に没頭している間も、一人で遊びながら大人しく待っていてくれた。無邪気に笑うジゼルの顔を見ると、研究で溜まった疲れも一瞬で吹き飛んでしまう。そのジゼルのために、今日は時間を作っておいしいおやつを作ってあげたいと思う。料理の才能がない私を手伝ってくれるのは、同僚の学者のエインデルだ。
問題は、ロブスターサンドイッチに必要なシャコだった。湿地を越えた先の海で捕れるらしいけど、私は釣りをしたことが一度もない。それでも一匹くらいは釣れるだろう…
海は静かだった。風も波の音もほとんど感じられない、妙な静けさの中で私は釣り糸を垂らした。
長い間ずっと待っていたものの、餌だけが次々と消えていき、水の中には生物の気配すら感じられなかった。最初は楽しそうに釣り竿を垂らしていたジゼルも、小さな魚を数匹釣り上げた後はすぐに飽きてしまったらしく、日差しの良い岩によじ登って眠ってしまった。
私は眠っているジゼルの顔を見てもう一度気を引き締め、釣り竿をしっかりと握り直した。その時、釣り竿の先が秒に重くなった。まさか、と思いながら竿を力いっぱい引き上げると、目の前に輝くシャコが一匹現れた。私は釣り針にかかったシャコを見せようと、眠っているジゼルを起こした。目をこすりながら起きたジゼルはシャコを見て驚き、「エズラ、すごい!」と叫びながら私の周りを飛び跳ねた。最近、こんなに嬉しいことがあっただろうか。
私ははしゃぐジゼルを連れて境界の丘を目指して歩き出した。アインデルと私はこのシャコを使って、ジゼルに最高のロブスターサンドイッチを作ってあげるつもりだ!