ID: 2213830130
ヴァンパイアについて
icon コーデックスタスク
タイプ: 収集
カテゴリー: 沈黙の沼地周辺

ヴァンパイアについて 1

俺がヴァンパイア研究に夢中になったのはおよそ20年前からだった。当時の俺は遺体を解剖して死因を突き止める治療師で呪術師だったけど、葬儀屋の仕事もやっていた。これはひどく損傷した遺体をなるべく生前の姿に近い形にしてあげるものだったけど、こっちのほうが儲けていた。ある日、いつものように遺体を確認していた俺は衝撃的な場面に出くわした。確かに死んでいたあの遺体が、いきなり起き上がったのだ。俺はすぐ友だちの魔術師、ルパートを呼んで彼を回復させた。目を覚ました彼は自分が死んだ経緯を詳しく話してくれた。俺の記憶が薄れる前に、あの衝撃的で俺の人生を変えてしまったあの話を記録として残しておこうと思う。

まず、彼は自分をセルジオだと名乗ってくれた。かつて世界中を回っていた有能な船乗りだったけど、歳のせいなのかだんだん仕事が見つからなくなった。毎回断られ、旅館でお酒ばかり飲んでいた彼は、ある日忽然と現れた謎の貴族からおいしい提案を受けた。今月の最後の日、トランドールの西から現れるはずの船を港まで運んでくれたら多額の報酬を出すという話だった。でも、何も考えず提案を受け入れて船員たちを集めていた彼はふと思った。「船員が一人も乗っていない船なんて、いったいなんだ?それなら雇い主が直接やってもよかったんじゃないか?」彼はあの船に宝物があると確信し、船員たちとあの宝物の一部を横取りすることにした。

ヴァンパイアについて 2

数日後の月末の日、依頼主の言っていた通り、トランドール海岸の霧の中から大きな船が現れた。船に乗り込んだ彼らは港へと船を動かした。そして隠されているはずの宝物を探すために船室へと向かった。人の気配がまったくしない船室は漆黒のような闇に包まれ、不気味なほどだった。船室の中から明かりを付けた瞬間…目の前には数百を超える棺があった。逃げ出したり、恐怖のあまり動けなかった船員たちをよそに、彼はきっと棺の中に宝物があると思って中を確認しようとした。そして鉄の棒で棺を無理やりこじ開けた瞬間…彼は取り返しのつかないことをやってしまったと気づいてしまった。棺の中には…未知の場所から運ばれてきたヴァンパイアが眠っていたのだった。奴らは人の気配に順次に目を開け、すべての船員たちを食ってしまった。生き残ったのは彼、セルジオだけだった。

その後、ボスと思われるヴァンパイアに噛まれて気を失った彼は、目を開けたとたんボスの命令に従って船を港へと動かした。ヴァンパイアたちは港に着いた船からコウモリにモーフして飛んでいき、ボスは「いつか戻ってくる。その時まで待つように」とだけ言い残して姿を消した……話はここで終わりだ。セルジオはもう奴らの手下として生きたくないから早く自分を殺してほしいと懇願した。でも、ルパートによると、一度ハーフヴァンパイアになった者は二度ともとには戻れないようで、他の方法を探してみようと提案した。次の瞬間、セルジオはすべてをあきらめて強烈な日差しに自分の体を投げ出し、燃え尽きてしまった。彼の悲惨な死に方を目にした俺とルパートは、その日からヴァンパイア研究に夢中になった。そして長い時間が経ち、ようやく俺たちはハーフヴァンパイアの変異を止めるポーションと呪文を作り出すことができた。これを、彼の名前に因んで「セルジオ治療法」と名付けた。

ヴァンパイアについて 3

でも…セルジオと一緒に船の中にいた数百のヴァンパイアはいったいどこへ消えたんだろう…

exitlag


ログインしてコメントする
追加者 Kiriak (9-10-2024)
追加者 Kiriak (9-10-2024)
追加者 Kiriak (9-10-2024)