ID: 1833711411
ある運命的な愛の記録
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タイプ: 収集
カテゴリー: 星影天文台遺跡周辺

ある運命的な愛の記録 1

親愛なるジュリア、

赦しを得るためにこの手紙を書きます。どうか読んでください。
あなたを騙したことについては、いくら恨まれても構いません。二度と私に会いたくないと言うのなら、それも受け入れます。しかし誓って、あなたに害を与えるために近づいたわけではありませんので、誤解しないでほしいのです。
あなたに初めて会ったあの日、私は新たに作り出したミメットを試すために森の中へと向かいました。鳥を飛ばして待っていたのですが、一向に戻ってきませんでした。仕方なく森の中を進んでいると、花の中に座っているあなたを見つけました。
その時私は、天に上るかのようなめまいを感じました。あなたの目は夏の森のようで、金色の髪は秋の野原のようでした。あなたの膝の上に翼の折れた鳥が座っているのも、それが私の作ったミメットだということも、後になって気づきました。
あの日あなたがアーキライト学会の魔術師だということを知った時、私がシラベス教団の闇術師、つまり、あなたの仲間たちが憎悪する存在だということを明かすべきでした。

しかし私は、あなたの瞳が軽蔑の眼差しに変わるのを見たくありませんでした。あの日だけは…しかしあの日以降も、あなたに会うたび、用意していたセリフを言えないまま帰路についてしまいました。
言い訳などできるはずもありません。ジュリア、私はあなたを失いたくなかった。あなたにだけは軽蔑されたくなかったのです。そんな卑怯な気持ちのせいで、あなたに真実を告げることができず、結局はこうしてあなたを傷つけてしまったのです。
ジュリア、私は幼い頃から砂漠をさまよい歩いてきました。自分の出身も、両親の名前すらも知りません。私の体の中にある力は、いつ暴走するかもわからず、それを知った人々は皆私を遠ざけました。その時私の面倒を見てくれ、力のコントロールができるよう魔術を教えてくれたのがシラベス教団の闇術師だったのです。彼らの魔術が黒魔術と呼ばれていることは後になって知りました。
あなたに見える私の手は、醜い闇で染まっていることでしょう。しかしあなたに対する私の心には、一切の偽りなどありませんでした。それだけは疑ってほしくありません。

タイダル

ある運命的な愛の記録 2

恋しいタイダル、

明日の朝にはあなたは家に来るでしょうが、言いたいことがあるので先に書いておこうと思います。
今日森の中を歩いていたら、ヤマウズラの群れを見かけて、あなたと初めて会った日のことを思い出しました。覚えていますか?あなたがあの日飛ばした鳥が私の前に落ちてきて、翼が折れたことを。あの時、私がどれほど驚いたかわかりますか?あなたが作ったミメットは、どう見ても本物の鳥にしか見えなかったのです。羽ばたくのが少しぎこちないことを除いてですが。
3年前あなたは、私のためにシラベス教団を離れ、二度と黒魔術を使ったりミメットを作ることをしないと約束しましたね。あの時はそれが正しいと思っていましたが…最近になって、私はあなたから大事なものを奪ってしまったのではないかと後悔しています。
タイダル、あなたが持っている才能の本質は邪悪なものではないはずです。教団はあなたに殺人用のミメットを作るよう強要しましたが、あなたは、危険な魔物と同じくらい、可愛らしい動物を作るのも上手な人だったのですから。

どんな魔術師も、あんなにリアルなミメットは作れないはずです。星の力もあるでしょうが、あなたがいつもこの世界を注意深く観察してきたからでしょう。だから魚のウロコや、アナグマの模様を精巧に再現できたんです。
私はあなたのそんな繊細さが好きです。あなたは否定しますが、私からすれば、それはこの世界に対する愛がなければできないことです。
だからいつかあなたが何かを作りたいと思ったなら、私は賛成します。もうじき生まれる私たちの娘も、あなたが作ってくれた動物のミメットたちがいれば楽しいはずです。
そうそう!今度こそ良い名前が思い浮かんだんですよ。あなたは「ホルテンス」や「ゴトルド」は嫌だというので…「アッシュヘン」はどうでしょう?「トネリコの木の下に座っている子」という意味です。

あなたのジュリア

ある運命的な愛の記録 3

愛するジュリア、

すまない。あなたとご両親の時間を邪魔したくはなかったのだが、急ぎの用事なんだ。
あなたが発つ前に、アッシュヘンが最近描いた風景画を食卓のそばに飾っていっただろう?今日の昼にアッシュヘンを寝かしつけて、その絵を見ていたんだ。目が見えないのに、あんなにうまく絵が描けるなんて、きっとうちの娘は天才に違いない。
とにかく、その絵を見ていたら、アッシュヘンが描いた風景の場所がわかったんだ。丘の向こうにリンゴの木が生えている野原があるだろう?春にアッシュヘンがハチに刺された場所だ。絵を近くで見るほど、風景がより鮮明に見えるようだった。
そしてふと我に返ると、私はその野原に立っていたんだ。手をのばすとリンゴの木の葉に触れられた。ここは秋なのに、そこはリンゴの花が満開になる春だったんだ。少し歩くと見えない壁に当たったかのように進めなくなった。
その時、大きなハチが一匹飛んできて、私の腕を刺したのだが、あまりにも痛くてつい叫んでしまったんだ。

再び目を開けると、私は食卓の前に立っていて、目の前にはアッシュヘンの絵があった。そして驚くべきことに、ハチに刺された腕は無事だった。まるですべてが夢の中での出来事のようにだ!
ジュリア、私はこんな魔術、見たことも聞いたこともない。私の作るお粗末なミメットなどとは比べ物にならない、世界の創造とも呼べる力だった。今後あの子の力を欲しがる欲深い連中がごまんと現れるかもしれないと思うと、今から恐ろしい。
八年経った今でも、シラベス教団は私のことを探しているはずだ。教団の手はソリシウム全体に及んでいて、彼らは裏切者を決して許さない。もしも教団がアッシュヘンの絵について知ってしまったら…そんなことは絶対に起きてはならない。今よりもっと頻繁に家を移し、徹底的に隠れる必要がありそうだ。
アッシュヘンは今ものんきにアナグマのミメットを抱いて眠っている。
気をつけて帰ってきてくれ。あなたに何かあったら私は耐えられない。

あなたのタイダル

ある運命的な愛の記録 4

タイダル、

時間になっても戻って来ないから心配です。何かあったんですか?
レジスタンスが助けてくれるかもしれないなんて、そんな無駄な期待のためにあなたを遠くに行かせるんじゃなかった…
さっき幻想結界のすぐ外に闇術師たちが来ていました。私たちが近くにいることを知っているようでした。
アッシュヘンは一日中うずくまって震えていましたが、今は眠っています。この状況があの子にとってどれほど恐ろしくもどかしいことでしょう。
闇術師たちが今夜、この家を見つけ出し、アッシュヘンを連れ去ろうとしたら…
あの子を守るためなら命も惜しくありませんが、それだけでは足りないかもしれないと思うと怖いです。

ああ…結界の外に気配を感じます。本当にこれが、あなたに書く最後の手紙になるかもしれません。
タイダル、あなたは発つ前に聞きましたね。あの日、森の中であなたに出会い、あなたの正体を知ってもなお愛し、あなたと人生を共にしたことを後悔しているかと。
答えはノーです。すべてを知っていたとしても、何も変わらなかったはずです。
あなたに出会って私は幸せでした。
愛するタイダル、アッシュヘンを頼みます。

あなたのジュリア

ある運命的な愛の記録 5

愛するジュリア、

春が来て花が咲いたよ。ヤマウズラたちが木の上で休んでいる。
あなたの言った通り、レジスタンスは私の話を聞いてくれた。彼らの助けにより、数年間教団の闇術師を追跡して、あなたを殺した犯人たちをこの手で殺してやった。
アッシュヘンはレジスタンスの保護を受けている。あの子の力については誰にも話していない。
あの子はあなたに似て、見知らぬ人とも仲良くできるようだ。よく笑い、おしゃべりだ。いつも周りの風景のことを知りたがっていて、たとえ知らない人でもあの子に捕まると、村のあちこちを説明させられているよ。明るい性格の子になるだろう。
そろそろ私もあなたの元へ戻る時だ。
アッシュヘンが私のために絵を描いてくれた。果てしなく上へと伸びる魔法陣の塔だ。ここで私はミメットを作っている。
それらは練習するほどに精巧になっていくんだ。きっと神さえも私の被造物を本物の生命だと見間違うことだろう。
教団だろうとアーキライト学会だろうと、私の邪魔はさせない。彼らが来られないようにミメットたちを残しておくつもりだ。

レジスタンスたちは数日間どこかへ姿を消す私のことが心配なようだ。私に現実を見ろだの、親としての道理だのを説いてくる。
彼らは何もわかっていない。絵の中にある世界は、現実と変わらない。
いや、ここは現実よりも良い世界だ。ここには美しいものだけが存在し、太陽と雲さえも私の命令に従う。
ジュリア、何よりもこの世界にはあなたがいる。
ここのどこかにあなたがいるんだ。私を呼ぶあなたの声が鮮明に聞こえる。早くあなたのために新たな肉体を作って、以前のように一緒に暮らそうじゃないか。
ジュリア、あなたのいない世界は私にとって何の意味もない。私はこの道に沿って塔の頂上まで上るつもりだ。そこには私に向かって笑ってくれるあなたがいるだろう。
愛するジュリア、私を待っていてくれ。

あなたのタイダル

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Kiriak 17-10-2024 16:49
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